みたき園コラム

text by Naoko Kobayashi

Vol.10

食材は惜しんで?

みたき園は、手間は惜しまず、食材は惜しんで。
食材を惜しむというのは、もちろん、安価に済まそうという意味ではありません。山あいの暮らしでは、食材がとりわけ大事に、無駄なく使われてきました。山あいでなくとも、昔はどこでもそうだったろうと思うのですが、「もったいない」の存在感は、いまはずいぶん薄くなってしまいました。
みたき園の食材の多くは、地元の山や畑育ち。味が変わらなければ、形や大きさが不ぞろいでも一軍食材です。自分たちの手で収穫するものなら、思い入れが深くなり、遠くから取り寄せたものなら、一層大切にして、使い切ります。お出汁をとったあと、まだまだおいしくもったいないからと、山椒の実と合わせて煮しめた昆布。お客様にお出ししたものか迷いましたが、「そんなところがいい」と言ってもらいました。
ずいぶんかわいい大きさの食材でこしらえた料理も並びます。どうぞご容赦ください。同じ大根、同じお芋、同じ椎茸、同じらっきょうでも、見た目はいろいろ。人もそうですよね。それぞれにちゃんと味わいがあるものです。
食材を惜しんで、慈しんで、工夫して。その積み重ねが、みたき園の味なのかもしれません。これからも、変えずに続けてゆこうと思うことのひとつです。