みたき園コラム

text by Naoko Kobayashi

Vol.02

みたき園らしさって。

私たちにとってみたき園は、智頭の芦津のふるさとで守られてきたことを、つなげてゆく場所でもあります。昔の仕事をし続けることも、そのひとつです。
たとえばおしぼり。洗って、渡した紐に掛けて干し、濡らしたものを手で折って、竹篭に入れてお出しします。この篭は、創業のときから直し直し使っているもの。季節の花を挿してお持ちします。みたき園は、こうした仕事でできています。
同じく変えずに使っているはし袋に、住所と電話番号は入れていません。40年前は、箸入れが飲食店の広告になった時代。中には不親切だと思う方もいらしたでしょう。それでも、「どこにあるのだろうと探し訪ねる楽しさがなくなる」「電話が鳴るとお客さまが現実に連れ戻されてしまう」との創業者の思いを、みたき園らしさとして、ひっそりつないできました。
なんでも変えないことに価値があるとは思いません。ただ、こころを合わせて仕事ができるのは、こんなふうだからなのかな、と感じることがあるのです。だからお客さまも「懐かしい」と言ってくださるのかなと。それがみたき園なのかなと。