みたき園コラム

text by Naoko Kobayashi

Vol.01

プロはいないのです。

たくさんのお客さまをお迎えするみたき園に、その道のプロのスタッフは、実はいないのです。
出汁の香りと蒸気が、ほわほわーっと立ちのぼる厨房。40年もの間守ってきたのは、割烹着を着た、地元のふつうのお母さんたちです。
厨房も、そろえている道具も、昔ながらの台所の風情です。いくつもの大きなお鍋を火にかけて、煮物、揚げ物、汁物と、次々手際よくこしらえます。
食材も、仕入れるものばかりではありません。自家菜園で育てる野菜のほか、"採りもの"と呼んでいる季節の山菜、野草類を、朝早く出かけては、摘んできます。
広さが自慢の敷地は、箒とお雑巾できれいにします。お掃除はもしかすると、プロの域かもしれません!
それから、母屋の入り口にも、お食事をしていただくテーブルにも、あちこちに活けてあるお花。長年やりつけていたら、お客さまとしていらしたお花の先生にも褒められたんですよ。
毎日の繰り返しで体と心に染み込ませた、小さな花をめでるような仕事。プロではないみたき園のみんなが、こっそり誇りにしています。